駐在生活と子供の日本語、考えるポイント3つとは?

「駐在の期間、子供の日本語はどうしたらいい?」
「海外赴任中、母語である日本語と現地語、どっちが優先?」

あなたは、駐在生活でこんな悩みを持ったことはありませんか?

海外赴任前の方は、まだ想像もつかないことが多いでしょうし、実際に駐在員として生活が始まっている方は、これでいいのか、不安になることも多いですよね。

まずは、駐在先での子供の生活を安定させることが最優先になりますが、言葉の問題はタイミングを逃すと、子供自身が帰国後に大変な思いをする場合もありますので、保護者の方が原理原則を知っておくことは、とても大切だと思います。

ぜひ、考える一つの指針として、この記事を使っていただけたらうれしいです!

(筆者のプロフィールについては、こちらをご覧ください)

駐在生活と子供の日本語、考えるポイント3つとは?

海外赴任・駐在として子供が生活を送るときに、考えるポイントは3つあります。

1. 赴任時期別の状況と課題を把握する

2. 日本語で考える時間を必ず作る

3. あらかじめ「対処法リスト」を考えておく


順番にお話しします。

 

1. 赴任時期別の状況と課題を把握する

駐在生活を始める際に「子供が何歳まで日本で生活していたか」は、非常に大きなキーポイントになります。

同じように「子供が何歳で帰国するか」も大きく影響します。

しかし、帰国時期が定かではないという方も現実には多く存在しますので、子供の成長段階的にその時々の状況で考えていくことが必要ですね。

「子供が成長する」ということは「常に子供が変化している」ということですので、国内で育児をしているのと同じように、子供が何歳であっても課題があります

でも、大切なのは、課題を避けることではなく、状況に応じて課題が変化し、その課題の変化を把握しておくことだと思います。

ここで、赴任時期別の子供の状況と課題の例をお伝えします。
あくまで一例ですので、ご家庭の状況や赴任先の国での様子で変わってくることもたくさんありますので、目安ということで使っていただけましたら幸いです。

(画像をクリックすると拡大します。戻るボタンで記事に戻ることができます)

赴任時期別の子供の状況と課題

 

これを見ていただけるとわかるように「現地での学校生活に馴染むために、日本語より現地語を優先するべき」と考えるべきかというと、そうでもありません

子供にとっての母語は、本人のアイデンティティや、帰国後の日本語力、国語力を考えたときに、必ず守る必要のあるものです。
駐在生活の間、家の中まで現地語を優先してしまうと、子供にとって自由に使える言葉が奪われて、自分の心を表現する手段が取り上げられてしまうことになり、精神的な逃げ場がなくなる場合もあります。

かつては現地校の先生が、家でも現地語を使うように指導していたようですが、今はその考え方は正しくないということもわかっています。

子供の言語は、母語を主軸に成長します。母語でわからないものは、外国語でもわかりません。
外国語を理解するのに最も支えになるものは、他ならぬ母語なのです。
(詳細は、この記事の最後をご覧ください)

 

それだけでなく、共通して言えることは、駐在など「母語である日本語を海外生活で維持することは、相当難しい」ということです。
相当難しいということは、それなりの覚悟と準備が必要ですが、不可能というわけではありません。

では、この問題に対処するためには、どのように考えたらいいでしょうか?

 

2. 日本語で考える時間を必ず作る

まず欠かせないのは「日本語で考える時間を必ず作る」ということです。

「日本語で考える時間」とは、何を指すのでしょうか?
よく「駐在でも、家庭内では日本語で会話しています!」というお声を聞きますが、それもまず大切なことですね。

では、家庭内で日本語で会話していれば、子供の発達段階に合わせた日本語力が、十分発達していくといえるでしょうか?

一つ参考になることは「子供を家族以外の人と話させてみる」ということがあります。
例えば、同じような環境の、子供のお友達の駐在保護者、保護者の友人、日本語を解する先生や大人など、です。

普段一緒に生活している親は、子供が言いたいことを想像したり、把握することが簡単です。

しかし、何も知らない相手には前提がゼロであるため、親と同じように話しても内容が伝わりにくいですね。
わかりやすく伝えようとするには、普段接している親よりも説明するための語彙力や論理力が、数倍必要になります。

それによって、普段一緒に過ごしていない人に、「起こった出来事の状況を適切に説明できるか」や「自分の考えを伝える力があるかどうか」ということで、子供の日本語力を計ることができます。

 

ここでのポイントは、話す相手が「大人であること」です。

子供同士で話すことももちろん大切ではありますが、慣れるまでは、細かい内容の事柄は、大人相手に話させることをおすすめします。
子供が何歳の時に駐在生活が始まったか、家庭での言語環境はどうか、など、子供の置かれている環境によって、日本語力がさまざまです。

そのため、駐在、駐在でないに関わらず、友達の日本語力が原因で、自分の日本語力にコンプレックスを持ったり、必要以上に「通じない」というストレスを抱えることで、子供自身が自信を持てなくなったりすることがあります。

かつて、幼児のお母様から「駐在のお友達と一緒に遊ぶのはできるけれど、日本語で話すのは嫌がる」というお話がありました。
私がポイントを押さえながら、その子のお話をじっくり聞くようになってからは、ご本人も少しずつ自信をつけてくれたようで、側から見ている大人たちにも変化が感じられるほど、日本語でも自分の意見を積極的に話すようになりました。

もし、周りに日本語を解する知り合いがどうしても見つからない場合は、学校での様子を保護者が辛抱強く聞いてください。

学校で起こったことを親が理解するのは難しいので、子供が説明する練習には最適です。
しかし、学校生活が現地語で起こっていることが多いので、説明するときにも現地語で話す方が、子供にとってはるかにラクです。

そのため、日本語で話すのがめんどくさい子供は、親が質問しても「わからない」とか「何もなかった」ということも多いですが、話を聞く時間をしっかり設けて、お子様の好きなおやつでも食べながら(笑)、じっくり話を聞いてあげてください。

子供の話があまりにも支離滅裂であっても、絶対にイライラしたり、怒ってはいけません。
(わかっていても、なかなかムズカシイですよね… ワタシもイライラしちゃうことがよくあります(笑)。)

保護者の方も「修行」だと思って、深呼吸しながら聞いてみてくださいね!

 

もし「自分にはムリ!」と思ったら、親子関係が悪くなる前に、早めに外部の大人を探すことをおすすめします。
その際には、できるだけ定期的に話す機会を設けるようにします。
私自身も、子供と接していただける大人や先生に、自分の子供たちを定期的に会わせています。

子供の話を辛抱強く聞いてくれる大人が身近にいることは、子供だけでなく、親にとっても大きな支えになりますね!

 

3. あらかじめ「対処法リスト」を考えておく

もし、子供が「家の中では、日本語を話すこと」をわかっていながら、日本語より現地語が出る頻度が高くなったら、ちょっと危険信号です。

「そのうち子供も変わるだろう」と放っておかずに、すぐに対処することをおすすめします。

でも、意外にこの「気づく」ことが難しかったりしますが、外部に、定期的に子供が日本語を話す機会がない場合は、どこかのタイミングで危険信号がくると考えられますので、サインを見逃さないように意識してみてください。

まずできることは、子供に、日本語より現地語が出てくる頻度が高くなったことを指摘することです。
子供自身は、無意識に言葉を使っていることが多いので、まず現状を意識させることから始めてください。

そして、親子で日本語について話す時間、例えば「日本語で話すのは大変?」とか「何か困ってる?」など、子供の気持ちをまずは聞いて受け止めてあげてください。
もしかしたら、駐在特有の問題が潜んでいる場合もあるかもしれません。

その上で、どんな対処法を取るか考える必要があります。
ただ、考える必要があってから、対処法を考えるのでは遅い場合もありますので、駐在の場合は特に、考えられる対処法を、あらかじめリスト化しておくようにしてください。

 

ポイントは《「話す」コミュニケーションの場を必ず入れる》です。

気づかないうちに意外と落ちているのが、この「話す力」です。

話すことで自分の言いたいことが言語化し、脳がフル回転しますが、いきなり読み書きの学習を取り入れると、ハードルが高すぎて拒否反応を示す場合があります。
また、「話す」コミュニケーションは、子供自身「通じた!」とすぐわかるので、本人の目にも成果がわかりやすいという利点があります。
そのため、前段階として《「話す」コミュニケーションの場を必ず入れる》を意識しておいてください。

その際には、できるだけ「駐在として生活している子供の環境」を理解してくれている大人を選ぶことを念頭に置いてください。
無意識でも、ついつい日本国内で育っている子供と日本語力を比べてしまうと、子供は必要以上に自信喪失になります。
それがきっかけで、現地の言葉にも影響が出てしまうことがありますので、お願いする方は慎重に選んでください。

具体的には、駐在の日本語コミュニティに参加させる、オンライン講座を受けさせる、サテライト授業を受けさせる、ワークショップに参加させる、などなど…

駐在開始時期や現在の年齢、その先の目標によって対処法が変わってきますので、ご家庭でよく話し合いながらリスト化しておき、いざという時にスムーズに対処できるといいですね!

 

まとめ

それでは、ここまでの内容をまとめてみましょう。

駐在生活と子供の日本語について、考えるポイントは3つありました。

1. 赴任時期別の状況と課題を把握する

2. 日本語で考える時間を必ず作る

3. あらかじめ「対処法リスト」を考えておく  

 

慣れない生活で日々追われていると、つい目の前のこと以外は後回しになってしまいますが、駐在生活が始まる前を含め、ふとした時に、ご家庭で話題にしたり、考え方を共有することは、子供を言語教育のストレスから解放するためにも、とても大切だと思います。

ぜひ、どこかで必ず対処が必要であることを、頭の片隅に置いておいてください。

もし「現地校の先生に、家でも現地語を使うように指導された!」という方は、「子供をバイリンガルにしたい!これが基本のキ!」の記事もご覧ください。

子供をバイリンガルにしたい!これが基本のキ!

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

もし、「対処法が思いつかない!」「駐在生活の今の状況を聞いてほしい!」という方も、大丈夫!

ぜひ、「3歳からのバイリンガル子育て相談窓口」にご連絡ください。
保護者の方から伺う、お子様の日頃の様子などを参考に、解決策を考えるお手伝いをオンラインでいたします。

相談料は一切かかりませんので、お一人で悩まずに、こちらのフォームより、お気軽にお問い合わせください。

少しでも、みなさまのお役に立てたら幸いです。

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親子コミュニケーションの専門家 田中響子

親子コミュニケーションの専門家 田中響子

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物ゴコロついた時から、人生ほとんど反抗期!(笑)
外ヅラがいいので一見常識人に見えるため、有名女子中高や官公庁で使ってもらったカコを持つ。
でも本当は、学生時代に「たなかきょーこって珍獣だよね(笑)」と言われ、四柱推命で「あなたは宇宙人です」と言われたことを本領発揮!
そのおかげ?か、ありがたいことに結構子どもにモテるのが自慢♪
その本性がたっぷり出た日々のツブヤキを、ブログで楽しんでいただけたらうれしいです❤︎
ぜひ読んでやってください!

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