【次の野望へ!ススミダス→】
nobodyknows+ の日仏通訳として、自分の人生観が変わるような「ココロオドル」お仕事をさせていただきました。
初日のサイン会前に。プロカメラマンにワタシのiPhoneで撮ってもらった
2023年6月10-11日、ルクセンブルクで実施されたアニメフェスのイベントで、イベント主催者に通訳として呼んでもらい、グループのコンサートやインタビュー、サイン会に同席。その前後の日程でも、ステージ上での音響チェックやお見送りなどに同行。
イベントは2日間合わせて、約12,000人が来場、こんな小さなルクセンブルクに、こんなにたくさんの人が集まったとは!
ルクセンブルクだけでなく、フランス、ドイツ、ベルギーなどなど、近隣諸国から2時間以上かけて来た方も。
ワタシのお仕事は、ステージ上での日仏英語でのインタビュー会、コンサート中の舞台横でのMC通訳、サイン会場でのメッセージの通訳などだった。
ステージ上で初日のインタビュー会
海外では「ナルト疾風伝」のOPソング「Hero’s come back!!」で知名度の高い方たちなので、インタビュー会で一緒に仕事をさせてもらったフランス人イベント司会者のように「ナルトのアニメを通して幼少期から長年の彼らの大ファン」というコアな人がたくさんいる。
今回幸運にも「たなかきょうこ」を使っていただけたけれど、本来ならば、フランス語力がもっと高くて、通訳としてもっと適任な方はたくさんいらっしゃると思う。ルクセンブルクが小さい国だからこそ、自分にご縁をいただけた貴重な機会だなと思った。心から感謝。
出店したスタンドは230以上!
4年前に日本大使館を退職して以来、現地の人たちとお仕事をするのが久しぶりだったので、「ああ、そうだった!」と思い出すことがたくさんあった。
「日本語を話す自分」と「フランス語を話す自分」は、まるで同一人物には見えないくらい(笑)人格が全然違うヒトで、フランス語で話している感覚と、日本語で話している感覚の違いを思い出したのは、すごく懐かしかった。
例えば、初対面からすぐ仲良くなる「圧倒的キョリ感」とか、
タメ語で言葉をポンポン投げる「超速スピード感」とか、
ちっちゃいことでもドンドン仲間を頼る「お願いの内容のミニサイズ感」とか、
なんならメッセージ書くより、直接電話した方が早くない?と「速攻誰かに電話をかけるアクションの軽さ感(笑)」とか、
日本語で話しているときにはナイ感覚なんだよね。
そもそも日本にいた時から「そういえば、フランス語を話す自分は、いつも自由を感じていたな」って思い出したり。
日本で出会った友達が、先日ルクセンブルクに遊びに来て、フランス語を話しているワタシを見た時に「このヒトは、フランス語を現地人みたいに話すヒトだ」と思ったらしい(笑)。確かに、日本語だとしないのに、フランス語だとコッチの人みたいに、お会計の時に店員さんとちょっとした雑談なんかもする。
初日のライブ中のMC通訳
また「言葉が違う=文化が違う」ので、お互いの文化での「アタリマエ」をそれぞれに伝えることも大切な仕事。これは、日本大使館で仕事していた時によくイシキしていたこと。
例えば、日本から来ている大使館員は、日本の労働基準法の下で勤務、ワタシたち現地職員は、ルクセンブルクの労働基準法の下で勤務。だから、勤務時間も有給休暇の日数も、有給休暇に対する考え方も違う。
ルクセンブルクを始めヨーロッパの多くでは、有休全消化が義務付けられていて、国によっては、雇用主の有休買取が禁止されている。日本でもだいぶ進んだにしても、有休全消化するのは、よっぽどの理由があってこそ、というイメージだ。
だから、日本から着任したばかりの館員は、それこそ「休んでばかりの部下」に驚きを隠せず(笑)、その辺の文化の違いも、一言口添えをするのが、日本人現地職員だったワタシの役目だと思っていた。
観客もノリノリ、熱かった! ワタシも袖でメッチャ楽しんじゃった!
みんな一緒に「ワッサワッサ!」
今回の仕事の大きな発見としては、2日間やってみて「イベント通訳」という存在自体が自分のイメージしていたものと違ったと感じたこと。
例えば、MCの通訳というと、黒子のように裏方として、誰かが話したものをこっそり違う言語に変えるイメージがあったけれど、今回のイベントでは「訳している」のではなく、違う言葉を話す「もう一人のMC」のような視点で、観客から見られていたなと感じた。
初日全体の振り返りで「【ヨーロッパ版のnobodyknows+】をお届けしよう!」となった時、ライブの雰囲気を壊さずに話すことについてもう一度見直して、よりイベントMCのイメージに近いように、2日目は声のトーンや使う言葉、話し方、立ち方などを少し変えたり、服装も少しラフな感じで、自分の見せ方を変えたりしてみた。
初日のライブ中のMC通訳
MC中に通訳が入ると、日本語がわかる人とわからない人の間で、どうしても反応がワンテンポズレる。だから、ノリでみんなわかりそうなところは逆に訳さないようにしたり、雰囲気によって使う言葉を考えたりしたけれど、フランス語のイベント司会者がどんな言葉を使っているのか、改めて勉強したいなって思った。
演者と観客のノリの良さとか一体感、やっぱライブの良さだよね。
「そもそもクリエーター」の自分は、ライブの現場に居させてもらったこと、場作りにちょっと関われたことが、ホントにシアワセだった。
「ココロオドル」すごいジャンプ力!
その場の雰囲気を察知して動くのがトクイなワタシは「自分が自分らしく居られた」と感じた上に、今回のお仕事を見た友達みんなから「きょーこさんに似合ってる仕事だったね!」って言ってもらって、すごくうれしかった。
来場者数は、なんと2日で約12,000人!
グループの方たちと会場を移動しているとき、「コンサートすごかったよー!!」とお客さんたちから声をかけられると同時に、ワタシに対しても「通訳ありがとう!」って言ってくれて、温かい人ばかりだった。
2日目のサイン会場で、日本大使館広報担当者の方と。大使館宛にサインゲット!
初日コンサート終了後、関係スタッフたちと飲みに行って、これからの夢や目標を語った。みんな普段はお堅い仕事をしているので、そのギャップも面白かった。
今回一緒に仕事をしたフランス人イベント司会者が「ナルトファンはフランスに山ほどいるから、絶対にnobodyknows+をフランスに呼びたい!!」といってた。
「ルクセンブルクにも彼らの熱いファンはいたけれど、フランスはマンガ大国だから、フランスはもっともっと(ホントに(笑))発狂するような、熱狂的なファンがたくさんいるんだ! ぜひグループのみんなにフランス一周ツアーをしてもらいたい」
そういって、アニメ・マンガイベント制作会社に向けて、SNSでコンサートの様子を投稿してた。
そして「現場のインスピレーションで感じることが似てて、Kyokoといい仕事ができたと思うから、今度フランスで通訳の仕事の機会があったら声かけるね!」って言ってもらって、あーここでは、こうやって人の縁が広がっていくんだよねって思い出して、うれしかったな。
控え室にて。フランス人イベント司会者Idrissと。
久しぶりに大勢の前に立って話すお仕事をいただき、かつて学校で全校生徒1,000人の前で話していたことを思い出した。
そして、今回意外に役立ったなと思ったことは、自分がかつてパフォーマーであったことと、中高の音楽科教科主任として、コンサートの企画・運営をしていたこと。
学生時代、それこそオーケストラのコンサートやピアノの本番に年数回は出ていたので、パフォーマーとして必要なものは何か、どんな心境か、ある程度は想像しながら動けたと思う。
DJ MITSUさん。バックからグループを見守っていらっしゃる印象を受けました。
コンサート企画・運営をしていた立場としては、本番までにどんな可能性があるかをイメージすることができたので、通訳ではあったけれど、マネージャー的な裏方の役目も少しくらいは果たせたかなと思う。
そこが、今回通訳として呼んでもらった自分が「通訳以上の成果が出せた部分」だったし、「日本から来た目の前の方たちに、思う存分パフォーマンスをしてもらうために、ワタシができる最善のパフォーマンスを、最大限考えた結果」だったと思う。
経験って、どこでどう役に立つか、ホントにわからないね。一時期「日本での自分の経験は、海外ではもう役に立たない」と否定したこともあったけれど、事実はやっぱりウソつかない、って思った。
フランス語MCが上手になりたい(笑)。
夢のような4日間。メッチャいい日々だった。今もまだグループのみなさんの音楽を聴くと、興奮冷めやらぬ(笑)。
ルクセンブルクやフランスの現地スタッフたちとの「彼らのコンサートを成功させよう!」「気持ちよくライブをしてもらおう!」という、想いを同じにした、たくさんの仲間との出会いや一体感、楽しかったなぁ。
本当に、こんな機会を頂けたことに感謝しかない。
お見送りの朝。
nobodyknows+のみなさんに、いつか「フランス一周」をして、フランスの熱狂的なファンたちに会っていただきたい。
そして、その時にまたスタッフとして自分が同行させていただけたら、この上ないシアワセだと思って(笑)、厚かましくも、図々しくも「ヨーロッパにいらっしゃる時には『ルクセンブルクからアイツを呼べ!!』とワタシを指名してやってください!」とお願いしてみた(笑)。アハハ。
言わずもがな、求心力がスゴイのに、本当に気さくな方たち。
20年経っても、歌声も雰囲気も当時のままで、ホント尊敬です。
ワタシが特に好きなのは「ススミダス→」「ココロオドル」「ワサワサ」。ライブでも盛り上がってた。
通訳はコトバより、想いを伝えるのが仕事。
だから、「このアツい想いを、nobodyknows+に伝えたい!」という熱を帯びたコトバを、自分が違う言語に変換することで「その先の相手」に伝わる瞬間に生まれるエネルギーの強さを、数々体験させてもらった。
もちろん、コトバ以外にも、コトバ以上にも、伝えられる手段はたくさんあるけれど、もしコトバで伝えられることがあるならば、「伝わらない悔しさ」は少し減らせるのかなって思った。
人と人はこうやって繋がっていくんだなって、肌で感じた日々だった。
《オマケ》
娘は当日会場には来なかったけれど、娘のお友達がサイン会場に来てくれました。
ワタシが会場にいた時の様子を、お友達が娘に伝えてくれたようで、今回の写真や動画を見せたら
「ママ、ほんとスゴイねー!! ワタシのママでうれしい! ワタシもこういうお仕事したい!」って言ってくれました。ありがと。
すでに4ヶ国語を操るアナタは、ママなんかよりすぐできるわよ。