あなたは「親が子供を褒めることは本当に必要?」「かえって子供を調子に乗せるだけじゃない?」と考えたことはありませんか?
しかも、親である自分が褒められて育っていないと、「褒められて育った子供」と「褒められないで育った子供」の違いが分からなくて、親として褒める必要性を感じられないかもしれませんね。
でも、私は横浜の私立中高で仕事をしていた時に深ーーく考えさせられたことなのですが、子供って大人が思っている以上に褒められたいし、「褒められること」は意味のあることなのです。
今回は、世間でよく言われる「褒めるといいこと!」とは、ちょっと別角度で「親が子供を褒める本当の意義」についてお伝えします。
学校教諭として経験したことも合わせて、お話ししていきたいと思いますので、ぜひ最後まで読んで参考にしていただけたらうれしいです!
(筆者のプロフィールなどについては、こちらをご覧ください)
◆ 世間でよく言われる「褒める」必要性
まず「親が子供を褒める必要性」を調べて挙がることは、「子供が自信を持てるようになる」ということ。それによって、ポジティブ思考になるので、子供が物事を前向きに考えられるようになるという利点です。
また、自己肯定感が上がることで、挑戦することが怖くなくなり、「子供に挑戦する気持ちが芽生える」とも言われています。
確かに、褒めてもらったらうれしいし、自信になるから、子供がいろんなことに取り組めるようになる気もするな、と感じますね。
でも、もしかしたら親御さんの中には、自分自身は褒められないで育ったけれど、悔しさをバネにしたから成長できた、と言う方もいらっしゃるのかもしれません。
子供を褒めろっていうけれど、褒めないデメリットがよくわからない。
私の小さい時もそうでしたが、かつて「親が子供を褒めるのは良くない」と言われた時代がありました。
そもそも親が褒められて育っていなければ、子供の褒め方がよくわからない、「褒める」ということがどういうことかよくわからない、というのも事実ですよね。
そんな親御さんたちは、ご自身を「褒める」ことも苦手だったり、もしかしたら「褒める」という言葉に、違和感や抵抗感があるのかな、と思いました。
では、子供自身は「褒める」ことについてどう思っているのか、私がかつて、中学2年の担任をしていた時の話をご紹介したいと思います。
◆ 子供は「褒めてくれる場所」を探している
私が勤務していた私立中高一貫校では、中学でも高校でも、中間試験、期末試験がありました。
当時、試験の答案を返却した後、すべての教科の平均点とその生徒個人の点数、そこから計算された学年総合順位(185人中〇〇人)が記載されている紙が配布されていました。下の方には、結果を踏まえた親のコメントを直筆で書く欄も。
私は、この順位表の紙を生徒たちに配る仕事が、一番嫌いでした。
なぜなら、そこに書かれた数字に一喜一憂して、自信をつけるより、自信を失くす生徒の方が多かったから。
試験結果は「事実ではある」けれど「事実でしかない」。でも、そこからわかる「本当に大切なこと」が見えなくなって、結果だけにコミットしてしまうのではないかという恐れを、毎回感じていたからです。
特に学年順位は、自分がどんなに頑張っても、周りも頑張れば上がらない。「基準が自分」ではないので「頑張った!」と思っても、実際に達成感を感じることは難しい。
配られた順位表を見て、中には泣き崩れたり、「家に帰れない」という生徒もいました。
私自身も「学歴至上主義の家庭」で育ったため、「成績がすべて、結果が出ないのは努力が足りないから」と親に言われていたので、試験結果で自分を見失ってしまう子供たちの気持ちが、痛いほどわかりました。
(ちなみに私は、大学に入って半年くらい経った時に「”学歴がすべて”と考えているヒトはホントにつまんない!」と思ってしまった出来事があり、それ以降学歴は「そのヒトの特徴の一部」以外のなんでもない、と思っています(笑))
そんなある日、順位表を配った後、私は46人の生徒に向かって、こんなことを言ってみました。
「試験結果を褒めて欲しい人は、あとで職員室に来てください!」
反抗期の子供たちだから「自分から褒めて欲しいなんて言うのは、恥ずかしい」と言って、職員室に誰も来ないかと思いきや。
「きょうこせんせー!褒めてくださーい!」
なんと、ちゃんと来てくれました!それも2人!
多分、仲良しの2人だったので、相談して一緒に来てくれたのかなと思いました。
「どこを褒めて欲しいの?」と聞くと。
「今回数学はすっごく勉強したから、点数が20点も上がったんです!」
「英単語を集中的にやったら、試験の時、思ったより長文読解がよくできましたー!」
「おー!すごいすごい!練習問題の復習を頑張ったから、そんなに点数上がったんだね!」
「英語の単語、たくさん覚えたから長文がよくわかったんだね!」
自分の頑張ったことと、その結果をきちんと自分で把握していて、ちゃんとそれを私に説明してくれました。
たったこれだけのやり取りでしたが、自分たちの努力が認められたことで、子供たちは満足げに帰っていきました。
子供たちは、褒めてくれる場所を探しています。もし親が褒めなくても、学校や習い事など、親以外の人を探しています。
でも、本当は親に褒められたい。もっと期待に応えたい。
「褒める」が一番親子の信頼関係を築きやすい場所なのに、その機会を活用しないのはもったいないなと思いました。
ちなみにその2人は、高校卒業までのその後4年間、私が担任することはなかったのですが、ウレシイことに高校3年の時にまた2人で遊びに来てくれました。
なんと、5年前に私に褒めてもらったことをよく覚えていて、「先生の大学の後輩になりたいんです!」と言ってくれました!
そして、教員養成大学入学を目指して猛勉強、2人とも頑張って無事私の大学の後輩に!
大学卒業後、小学校の先生になったと聞いています ^^
「教師コンプレックスだらけ」だった私にとって、こんなに教師冥利に尽きることはなく、中学2年の時に褒めてあげたことを、生徒たちが何倍にも返してくれたうれしい出来事でした。
それでは、この事実を踏まえて、親が子供を「褒める」本当の目的は何か、考察してみたいと思います。
◆「褒める」その先へ
あえて正論に一石を投じるならば、世間でよく言われる「子供が自己肯定感を上げること」も「子供に挑戦する気持ちが芽生えること」も、「褒める」の副産物に過ぎないのかなと感じています。
じゃあ、何が本当の目的かと言われれば、私は「子供の今の状況を、親子の共通認識として把握するため」だと考えています。
どういうことかというと「子供が今できていること」を、親が「褒める」という形で子供に認識させることができ、それによって子供は「自分は課題をクリアした」と理解できます。
例えば、幼児で言えば「〇〇ちゃん、食器を片付けてくれてありがとう」と言われれば、子供は「自分がちゃんと食器を片付ける、という課題はできるようになったんだな」とわかりますよね。
そこから子供自身が「じゃあ、次は違うことをやってみよう!」というように、子供自身に「次の課題」を自分で見つけさせるためにも、今できたことを「褒めること」は有効な手段なのかなと思います。
さらに「親が子供を褒める」という行動を通して、子供が「褒められる」を経験し、最終的には「子供が自分自身を褒める=自分を認める」スキルをつけさせることが目的だと考えています。
自分自身を認めるスキルは、子供の自立には欠かせません。
そのために、ただ「上辺で褒める」のではなく「意味のある褒め方」をしたいですよね!
この記事の一番最後に「もっと自然に褒めるための必須スキル3選」のリンクをご紹介していますので、ぜひご覧ください。
そして、「褒める」ことについて、改めてこの機会に見直してみてくださいね。
◆ まとめ
それでは、ここまでの内容をまとめてみましょう。
「親が子供を褒めることは必要なの?」と思ったときのポイントはこちら!
親が子供を褒めることでしか得られない重要なこととは?
世間でよく言われる「褒める」必要性
・子供が自信を持てるようになる
・挑戦する気持ちが芽生える
子供は「褒めてくれる場所」を探している
・親が褒めなくても、子供は褒める人を探す
・「褒める」は一番親子の信頼関係を築きやすい場所
「褒める」その先へ
・子供の今の状況を、親子の共通認識として把握するため
・「子供が自分自身を褒める=自分を認める」スキルをつけさせるため
いかがでしたか?
「褒める」と言っても、意外に奥が深いことに、私自身も改めて気づきました。忙しいと目の前のことで精一杯になってしまいがちですが、子供の自立を促すために、改めて親として「子供を褒めること」を見直したいと思います。
もし「上辺だけでなく、意味のある褒め方をしたい!」と思われた方は、特に思春期の娘とお父さんについて意識して書きましたので、こちらの記事もぜひご覧ください。
========
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
もし「親には悩みを話したくない!」という小学生の保護者の方は、ぜひ「親子間コミュ力UP!相談会」にご参加ください。
保護者からのお話を参考に、親子間コミュ力の課題を、一緒に見つけるお手伝いをさせていただきます!
下の画像をクリックしていただくと詳細が見られますので、お気軽にお問い合わせください。
親子の関係が家族関係全体を良くして、やがては、世の中の人間関係すべてを変えると信じて活動しています。
少しでもお役に立てましたら幸いです。