海外に住む幼児が外で日本語を話さない!3つの原因から日本語教育を考える

あなたは、海外に住む幼児の日本語教育を考えている時、子供が外でなかなか日本語を話さないのはどうしてだろう?」と悩んだことはありませんか?
幼児のように子供が小さいと、ご本人が自分のことをなかなかうまく言葉にできないので、親が問題の本質を見つけることが難しいですよね。

家族とは話すのに、お友達や他の大人と話さない場合、「年齢が原因かな?」とか「本人の性格かな?」と、年齢や心理的な原因を考えることもありますが、
実は、バイリンガル特有の構造的な問題が潜んでいる場合もあります

今回は幼児が外でなかなか日本語を話さない」というケースについて、考えられる3つの原因についてお伝えします。

「子供だから、そのうち話すようになるだろう」と思ってそのままにしておくといくら時間が経っても解決できないどころか、手を打つタイミングを逃してしまう場合があります。

ぜひ最後まで読んで、あなたのお子さんの抱えている問題の原因を、正しく見極める参考にしてくださいね。

(筆者のプロフィールについては、こちらをご覧ください)

 

3つの原因とは?

海外に住む幼児の日本語教育のお悩みで、保護者の方からよくお聞きするのは、「家では親と日本語を話すのに、外では話さない」ということ。

の原因として考えられることは、3つあります。

 1. 話すことが恥ずかしい、自信がない

 2. 相手の話していることが、わからない

 3. 話そうとはしているけれど、言葉がすぐに出てこない


順番に説明します。

 

1. 話すことが恥ずかしい、自信がない

「話すことが恥ずかしい」という場合、幼児が人見知りをしているからなのか、日本語を話すことが恥ずかしいのか、を見極める必要があります。

まず、他の方と一緒にいる時のお子様の様子を、観察してみてください。
「日本語だから話さない」のか、それとも「日本語でなくても、他の言語でも話さない」のか、どちらでしょうか?

日本語だから話さない

「日本語だから話さない」場合は、自分の日本語に自信がない、日本語を話すことを知られたくないという可能性が挙げられます。
過去に、自分の日本語をからかわれた、うまく話せなくて親に怒られた、外で差別を受けた、など、日本語や日本人に対してコンプレックスはないでしょうか?

その場合は、まず【日本に住んでいない子供が、日本語を話せるようになることの難しさと大変さ】について保護者が改めて認識し、ご本人にも「海外でバイリンガルになることはすごいことなんだよ!」と繰り返し伝え、たくさん褒めてあげてください。
文化的背景が原因の場合は、マンガやアニメ、食べ物など、ご本人が「日本人でよかった!」と思えることを、一緒に探してあげることもおすすめです。

バイリンガルは、決して自動的にできあがるシステムではありません
本人の「がんばろう」とする努力と、時にストレスによって、やっと得られるスキルなのです。
国際結婚のご家庭より海外駐在家庭の幼児の方が、求められるものは、より多くあります。子供自体は他の環境で育つ幼児と同じだけの力があっても、現地語での学習と日本語での学習の両方が、同等の学力を求められることが多いですよ
ね。
そのため、つい「海外にいると、日本に住む幼児より日本語が足りない」とか「他の子よりも日本語が下手」と比べてしまうことがあります。

分子の数(=幼児の力)は同じなのに、分母の数(=求められる力)が多いので、比較すると 答え(=外から認識される子供の力)の値はかなり違うことがよくわかりますね。

私も含めて日本で育った大人は、海外でバイリンガル環境で育つ子供の抱えている課題を、つい忘れてしまいがちですが、子供にとって一番近い保護者の方が、その苦労を理解してあげることが、最も大切ですね。

日本語も他の言語も話さない

「日本語も他の言語も話さない」場合は、他人に対する恐怖心からきている可能性が挙げられます。

例えば、大人から話しかけられてもずっと下を向いていたり、首を振るだけで「うん」も発さない場合は、「怖い人」「怒られそうな人」などといった、相手の大人に対しての恐怖心を取り除けるといいですね。

もし自分が「相手の幼児から恐怖心を持たれているな」と感じたら、その子供の好きなものなどで一緒に遊ぶこともいいですが、絵本の読み聞かせなど、まず大人が声を出し、子供は声を出さなくても、お互いに心地よい環境が作れるようなアイテムをおすすめします。

絵本の読み聞かせは、絵本という媒体があるので、大人も取り組みやすく、幼児にも内容が伝わりやすいので、幼児がその人の声を聞くことで、少しずつその人の声に慣れてくれるようになります。

また、幼児にとって日本語が苦手な言葉である場合は、幼児が一番得意な言語で話すことも考えてみましょう。

私の講座でも、最初はお話しすることが難しかった幼児の生徒さんがいました。
3ヶ月経つと、こちらが特にお願いしなくても、自分から「今日は先生にこれを話す」と決めて、滝のように話してくれるようになりました。
子供によって差がありますが、少しずつ時間がたって慣れてくるとお話ししてくれるようになりますので、気長に、焦らないことが大切ですね。

ポイントは、幼児に話すことを強要しないことです。相手に対してさらに恐怖心が増して、逆効果になる場合がありますので、慎重に進めてください。

もし、極度に人を怖がったり、様子を見ても変わらない場合は、専門家(当国では小児科医も相談に乗ってくれます)にご相談することを、おすすめします。

 

2. 相手の話していることが、わからない

相手の話していることが理解できていないような場合、考えられる原因が2種類あります。

相手が使っている「語彙」が問題なのか、相手の話している「速さ」が問題なのか、という点を見極める必要があります。

ゆっくり話せばわかる場合は、速度が問題、ゆっくり話してもわからない場合は、語彙が問題であると考えられます。

速すぎてわからない

速度が問題の場合は、幼児が相手の会話を「わからない」という素振りをしたときに、保護者の方がその会話をゆっくりと言い直して、幼児に聞かせてみましょう。

ゆっくり話せば理解できる場合は、話者のスピードにだんだんと慣れていくだけですので、比較的ゴールは近いかと思います。
(私自身は日常会話が早口で、よく親に注意されましたが、私の子供たちにもいつもこのスピードで話すので、少しぐらい速い会話でも驚かない気がします(笑))

最初は相手にゆっくりのスピードで話してもらい、わからなければ何回も聞いて少しずつ速さを戻し、最終的には通常の速さでもついていけるように練習してみてください。

1〜2日で変化を期待することは難しいので、辛抱強く継続的に行うことが大切です。

単語が理解できていない

語彙が問題の場合は、わからない言葉を保護者が説明したあと、幼児がわからなかった言葉を繰り返し発音して「口で覚える」ということを習慣づけてみてください。

親はつい「子供に説明して終わり」になってしまいますが、それでは、音としてしか子供に定着しません。

「聞けばわかるけれど、自分で話す時に使えない単語」にならないように、必ず「一緒に言ってみて」と言って、後から続けて言わせる習慣がおすすめです。

また、目にすれば「知ってる!」という言葉も、音で覚えていない場合がありますので、その場合も、ご本人が繰り返し発音して、耳から聞いて言葉が表しているものをイメージできるまで、続けてみてください。

 

3. 話そうとはしているけれど、言葉がすぐに出てこない

意外と多いのに見落としがちな原因は、この「話そうとはしているけれど、言葉がすぐに出てこない」です。

なぜ見落としがちになってしまうかというと、幼児の年齢を考えた時、海外に住むバイリンガルに非常に多いけれど、モノリンガルには少ない特徴だからです。

幼児の沈黙が続くので、自信がなくて話せないように見えることがありますが、実は、頭の中がフル回転、話す言葉を「検索」しているために話せないのです。

 

家庭の中では、いつも同じ人が話しているので、同じ言葉ばかりが何度も使われ、子供の語彙がなかなか広がらない、とよく言われますよね。
そのため、家庭の中ではきちんと会話ができていても、外では話したことのない言葉を使って話す必要が出てくると、他の方と話せなくなる場合が見られます。

子供が相手の言っている内容を理解できているようであれば、子供の語彙が不足しているとは限りません。
語彙が不足していないのに、言葉が出てこないことがあるのかと思うと、不思議な気がするかもしれませんね。

人間は、赤ちゃんの時に、まず耳から聞いて言葉を覚えます。
少しずつ大きくなって、覚えた言葉を口から出すようになり、幼児くらいになると、だんだんと他人にもわかるようなフレーズで話せるようになります。

つまり、ステップ1として「聞く」、その次の段階で、ステップ2として「話す」となります。
ステップ2まで築き上げることができれば、同じ言語でのコミュニケーションができます。

しかし、ステップ1だけだと、「話す」部分が積み上がっていないため、聞いてわかるけれど、話すのは苦手という状態になってしまうのです。

このように、覚えた言葉を口から出す練習回数が少なければ、「相手が話していることは聞いて理解していても、それに対して言葉で返せない」というケースになります。
幼児が話したことがない言葉は、やはりすぐに口をついて出てくることは難しいのです。

また、海外に限らず、バイリンガルの子供たちによくある現象として、親と子供が会話をしている時に、それぞれが違う言語を使うケースがあります。
例えば、親も子供も、英語と日本語の両方が理解できる場合、親は子供に向かって日本語で話し、それに対して子供は全て親に英語で返す、ということです。

これは、同時に二言語がやりとりされる非常に高度な「技」ですが、はたから見ると、この子供は日本語を発さないので、日本語を理解していないように見えることがよくあります。
しかし、子供が日本語を理解していなければ、親との会話は成り立たないので、これは「日本語が理解できていない」のではありません。
子供は「耳が日本語を認識している」ので聞いてわかるけれど、「口が日本語を認識していない」ので、本人の口が慣れていて話すのがより楽な現地語を使って話してしまうのです。

「言葉の習得」というと、読み書きに時間をかけることも多いですが、読み書きができるからといって、必ず話すことができるとは限りません
「ペーパーの英語学習は得意だけど、英会話は苦手」というケースと似ていますね。

解決策としては、「日本語の単語や文章を何回も発することで、口でも言葉を認識できるようになること」を目指してみてください。

具体的には、絵本や読む教材・書く教材などを保護者が読み上げ、意味を理解した上で、幼児が後に続いて繰り返して声に出す練習をします。
最初は同じ文章でいいですので、何回も繰り返してみてください。だんだん耳で聞いて口で覚えるようになり、次第に慣れてきます。

その時に気をつけるべきことは、「その文章、日本国内で通じる日本語ですか?」ということです。
(この記事については、最後でご紹介しています)
よく海外では、日本語以外の言葉を通称として使っている場合がありますが、日本でも使うことを前提として、日本で通じる日本語を使うように意識してみてください。

同じく重要なのが、家庭の外に、定期的に日本語を使う場所があるか、ということです。
親だと、普段の生活から、子供の発話の内容をついイメージで理解してしまいますが、他の方だと、きちんと言葉にして伝えないと、子供の言いたいことが伝わりません。

最初は、子供がもどかしい思いをたくさんすると思いますが、習慣で改善できますので、できるだけ早めに始めることをおすすめします。

 

まとめ

それでは、ここまでの内容をまとめてみましょう。

海外に住む幼児が「家では親と日本語を話すのに、外では話さない」という悩みに対して、原因として考えられることは、3つあります。

◆ 話すことが恥ずかしい、自信がない
 「日本語だから話さない」から?「日本語でなくても、他の言語でも話さない」から?

◆ 相手の話していることが、わからない
  相手が使っている「語彙」が問題? 相手の話している「速さ」が問題?

◆ 話そうとはしているけれど、言葉がすぐに出てこない
 「日本語が理解できていない」のではなく、口が言葉を認識していない


いかがでしたか?

他の人となかなか話さない幼児を見ると、つい心理的な面にフォーカスされてしまいますが、場合によっては、海外特有の構造的な原因が絡んでいることもあります
ぜひお子様の様子を観察して原因を見つけてみて、一歩前進できることをお祈りしています!

また「日本語を言葉として何回も発し、口でも認識できるようになるため」に気をつけるべきことについて知りたい方は、「子供をバイリンガルにしたい!これが基本のキ!」の記事もご覧ください。
小さなポイントを意識するだけで、海外でもお子様の「話す力」が驚くほどアップしますよ!

子供をバイリンガルにしたい!これが基本のキ!

 

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

もし、海外に住むお子様が抱えている問題の原因が見えない場合は、
「3歳からのバイリンガル子育て相談窓口」にご連絡ください。

保護者の方から伺う日頃の様子などを参考に、解決策を考えるお手伝いをオンラインでいたします。

相談料は一切かかりませんので、
お一人で悩まずに、こちらのフォームより、お気軽にお問い合わせください。

少しでも、みなさまのお役に立てたら幸いです。

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親子コミュニケーションの専門家 田中響子

親子コミュニケーションの専門家 田中響子

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物ゴコロついた時から、人生ほとんど反抗期!(笑)
外ヅラがいいので一見常識人に見えるため、有名女子中高や官公庁で使ってもらったカコを持つ。
でも本当は、学生時代に「たなかきょーこって珍獣だよね(笑)」と言われ、四柱推命で「あなたは宇宙人です」と言われたことを本領発揮!
そのおかげ?か、ありがたいことに結構子どもにモテるのが自慢♪
その本性がたっぷり出た日々のツブヤキを、ブログで楽しんでいただけたらうれしいです❤︎
ぜひ読んでやってください!

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