あなたは今、お子さんとの関係や自分の子育てに満足していますか?
現代は、親だけでなく子供も忙しいから、お互いに一緒に過ごせること自体が、貴重な時間になっています。
子供が大きくなってくれば、少しずつ外の世界と触れる時間が増えて「それでいい」と思えるようになるとしても、子供がまだ小学生くらいであったら「今のうちに、子供と一緒にたくさんの時間を過ごしたい」「親子の信頼関係をしっかり作っておきたい」と考えるのも、もっともですね。
もちろん、お子さんが小さいうちに、親子で一緒に過ごす時間をたくさん作っておくことが望ましいと思います。
でも「何をすれば親子の信頼関係が作れるのか」「親として具体的にどうしたらいいのか、はっきりわからない」と感じている保護者の方は、多いのではないでしょうか。
おまけに「忙しくて時間がないので、子供にやってあげたいことはたくさんあるのに、全然できていない」ということに、多くの親はジレンマを抱えている。
今回は、「これを目指せば、今の時代にあった理想の親子になれる!」について、5つのステップにしてお伝えします。
今の親子関係に、なんとなく違和感を感じている、モヤモヤしているという方は、ぜひ最後まで読んで参考にしていただけたらうれしいです!
(筆者のプロフィールなどについては、こちらをご覧ください)
◆「現代の親子が目指す理想の親子像」とは?
まず最初に結論からいうと、親子の信頼関係を作っていく上で一番大切なのは、子供が小さいうちに「親子で信頼関係を作る時間を持つことは、当たり前だ」と思えるような習慣を作っておくことです。
信頼関係というのは、何もしなくてできるものではありません。
相手との信頼関係を築くために、相手の様子を伺ったり、お互いが感じていることを話しあったりしてコミュニケーションを取るので、頭も心も使います。
そして、信頼関係は一回築いたら終わり、ではなく、維持するための努力も必要。
それは、親子であっても同じです。
生まれた時から相手をお世話をしていると、つい忘れがちですが、「子供に信頼され続ける親でいるためには、どうすればいいか」を忘れないでいることが、まず基本にあります。
「信頼される」と言っても「媚びを売る」とか「相手の要求を全て飲むこと」ではなく、きちんと面と向かって、相手を受け止める姿勢が一番大切です。
この「親子で信頼関係を作り続ける習慣」が、実は、子供が巣立ってからの親子関係にも大きな影響を与えると思っています。
そこで、忙しい現代の親子が目指す理想の親子像を「5つのステップ」に分けてみました。
1. お互いが思っていることを素直に言い合える親子
2. お互いを一人の人間として客観視できる親子
3. 子供の行動を信頼できる親子
4. 子供が自発的に進路や悩みを相談できる親子
5. 子供が自分で人生を切り拓いていく親子
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(1) 子育てで後悔したことがある保護者は7割
「現代の親子が目指す理想の親子像5ステップ」をお話ししていく前に、なぜこのステップができたか、という背景についてお伝えしようと思います。
お子さんとのコミュニケーションについて、いろいろ調べた時に、気になる2つのアンケート結果に行き当たりました。
一つは、2019年に株式会社クリエイティブエデュケーションによって行われた、アンケート調査(子どものいる40代以上の男女1,133人)。
それによると、なんと7割以上のパパママが「子育てで後悔したことがある」と答えています。
その中で最も多かった答えが「コミュニケーション(33.0%)」。
また、NHKがインターネットで行った別の調査(10-70代の母親1,149人)でも、「母親になってから後悔したこと」として、39%のママが「子供とのコミュニケーションがうまくいかない」と答えていました。
あなたはこの結果、どう感じましたか?
私は初めてこの数字を見た時、思っていたよりずっと多くてビックリしました。
具体的に「どういう時に、子供とのコミュニケーションがうまくいっていなかったと感じたのか」を聞かないとわからないと思いますが、いずれにしても「自分の子育てに自信が持てなくて、後悔している」というのは、とても残念だなと思います。
つまり「子供とのコミュニケーションに問題を抱えている親・抱えていた親」というのは、意外に多いということがわかります。
ということは、「まずは子供とのコミュニケーションを円滑にすること」が、親も子も親子関係で後悔することは少ない、ということではないでしょうか?
もちろん、それ以外に子育てで必要なことはたくさんあります。
でも、それ以外のことでも、常にコミュニケーションが基盤にあり、コミュニケーションが原因でうまく行かないことは、山ほどあると感じるのです。
これは、親子に限ったことではありません。
コミュニケーションは人類のキホン。
家庭内、家族内、学校内、職場内、どこの社会でも同じこと。
人間が社会性の生き物である限り、コミュニケーションの力を育てておいて、損することは絶対にないのです。
(2) 子育ての結果はすぐには出ない
しかし、ここで問題があります。
子育ては時代によって変わってくるから、今の時代の正解は誰もわからない。
だから、自分が親から受けた子育てを、今の時代にすることに疑問を感じるのも当たり前。
元教員として、あえていうのですが、点数のつけられるテストや成績で育った私たちは、「正解がないこと」に、特に苦手意識がある気がします。
しかも、子育てのように、長期的なスパンで考えなければいけないものは、すでに結果が出ない。
それが「良かったか、悪かったか」は、子供が大きくなるまでわからない。だから、どうしていいのかわからない。
一つ言えることは、自分の子育てが「良かったか、悪かったか」を判断するよりも、自分の子育てに対する想いや考えを、直接子供に伝えることが大切だと思います。
そのためにも、やっぱり「親子が向き合って話し合うこと」は欠かせないな、と感じています。
では、先ほどの表を見ながら、このステップについて、順番にお話ししていきましょう。
(3) 現代の理想の親子像・5つのステップ
「現代の親子が目指す理想の親子像5ステップ」について、もう一度思い出してみましょう。
1. お互いが思っていることを素直に言い合える親子
2. お互いを一人の人間として客観視できる親子
3. 子供の行動を信頼できる親子
4. 子供が自発的に進路や悩みを相談できる親子
5. 子供が自分で人生を切り拓いていく親子
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1つずつ、順番にお話ししていきます。
1. お互いが思っていることを素直に言い合える親子
最初のステップとして、お互いが思っていることを素直に言い合えないと始まりません。
でも、「これが意外に難しい」と感じる親子もいるのでしょう。
特に思春期・反抗期に入ってしまうと、お互いが思っていることどころか、話をすること自体が難しい、ということもあると思います。
私が中高の教員をしていた時にも、よく耳にしていました。
「家に帰って親と話せない」とこっそり教えてくれた生徒も、結構います。でも本当は「子供は、親と話したい」と思っているのです。
もちろん、思春期・反抗期に入ってからでも、関係改善を試みることは可能です。
でも、ちょっとエネルギーが必要なので、おすすめは、小学生のうちに関係を築いておくことです。
ポイントは「子供は大人がすべて誘導すべきである」と考えずに、「先入観を持たずに子供の話を聴くこと」です。
以前、講座の中で「聴くワーク」を実践していただいた小3のお子さんを持つ保護者の方から、「子供の話を聴くのって難しい!と実感しました!」と教えていただきました。
そうなのです!意外に思うかもしれませんが、人の話を聴くのは「アタマがフル稼働」なのです。
聴く時のポイントがいくつかありますので、別の投稿でお伝えしていこうと思います。
2. お互いを一人の人間として客観視できる親子
この記事の最初にお話しした「子供に信頼される親でいるためには、どうすればいいか」の一番のカギとなる部分が、相手を一人の人間として客観視すること。
一方的な見方や決めつけてしまうかどうかで、子供がモチベーションを持って話してくれるかどうか、が決まってきます。
「話したくなる環境」を作るのは、親の仕事。
大人同士であっても、相手が気持ちよく話せる環境を意識していると思いますが、子供はさらに空気を読み取ることに敏感なので、圧を与えないことが大切です。
そのためには「大人だから」「子供だから」と決めつけてしまうのではなく、子供を一人の人間として尊重し、親自身が子供の中に「自分にはない、この子だけの視点」を見つけようとすることです。
保護者の方が「小学校2年生であっても、子供の深く話を聞いてみると『そんなことを考えていたんだ!』と我が子の中で、新しい発見がありました!」とうれしそうにお話ししてくださったことがあります。
親が「自分がまだ知らない、子どもの顔を発見したい!」という姿勢で子供に向き合うことは、欠かせません。
何より、子供自身が、親が自分に興味を持ってくれていることが、とてつもなくうれしいのです。
3. 子供の行動を信頼できる親子
子供を信頼するには、まず子供の行動を信頼するところから。
子供を心配しすぎて代わりに全部やってしまうのではなく、子供に自分の行動に責任を取らせることが必要です。
例えば、子供がお水をコップに注ごうとしたら、こぼしてしまった。
そんな時には、「ああああーー!!」と、ついこぼしてしまった後始末のことばかりが頭をよぎって怒りたくなりますが、まずは親が冷静になって、子供と一緒に「どうすれば良かったか」を話し合いながら、本人にこぼれた水を拭かせます。
失敗したことに対して、親が愚痴めいた口調で子供を怒ったり文句を言ったりしてしまうと、子供は「親にイヤな思いをさせてしまった」という出来事ばかりが心に残ってしまい、必要以上に自分を責めてしまう「忘れたい出来事」になります。
それよりも、子供本人に後始末をさせることで、うまく行かなかった時の解決法を自分で身につけますし、「一つの経験」として子供にとってプラスの出来事として残るので、「生きるための学習」となります。
もちろん、安全面で問題な場合は、この限りではありませんが、同じ事実であっても、対比する2つの側面を持つことを、大人が覚えておくといいですね。
4. 子供が自発的に進路や悩みを相談できる親子
これは、子供が少しずつ成長して、主に思春期の頃の話になります。
やがて独り立ちをするために、子供の進路を考える時期が来るでしょう。
自分の人生を考えるということは、とてつもなく大きいことで、不安もたくさん。誰かに縋りたくなることもあると思います。
その時に、子供が決めたことに口出しをしたり、親が進路を決めてしまうのではなく、子供に全力で取り組みたいことを見つけさせるのも、親だからこそできる、大きくて大切な仕事です。
アンケート調査によると、大きくなった我が子が引きこもりになった時に、親としてもっとできることがあったのではないか、と後悔する保護者が多いようですが、子供の進路や悩みなど、少しデリケートな話を、時間を惜しむことなく聞いてあげられるのは、親でこそ、だと思っています。
親も自分が忙しいと、なかなかタイミングが合わないかもしれません。
でも、子供が「ちょっと話を聞いて欲しいんだけど…」と切り出してくれた時は、チャンス!
「ちょっと話を聞いて欲しいんだけど…」ほど、切り出し方がわかりやすくない場合も、往々にしてあります。
例えば、「今ちょっと学校で…」とか、「お友達が今日こうで…」とか、なんとなく何か言いたげな様子を見せる時もポイント!
絶対に逃さないようにしたいものです。
その時すぐに対応するのが難しい場合は、ただ単に「あとで聞くね!」ではなく、「今はちょっと〇〇で難しいんだけど」と理由を添えた上で、「〇〇時になったら話をしよう」とか「今やっている〇〇が終わったら話そう」など、具体的に「いつ」話せるのかを伝えるようにしてください。
大人が「あとで聞くね!」と返事することによって、親自身がその発言を忘れてしまったり、特に敏感な子供は「親も忙しそうだから、やっぱりいいや」と言って、その後自分から言うのをためらって、話を引っ込めてしまったお子さんを、何人も見てきました。
子供からの「ちょっと話を聞いて欲しいんだけど…」という発言は、一大決心であることも多いので、その場で具体的に約束を決めてしまうのが、オススメです。
5. 子供が自分で人生を切り拓いていく親子
子供が自分の手で、自分の人生を切り拓いていくために必要なことは、子供自身が早めに失敗や挫折を経験して、早めに解決策・修正方法を学ぶこと。
親や大人に守られすぎて失敗の経験が少なかったり、そもそも失敗自体を避けるように教育されてしまうと、「チャレンジすることが怖い大人」に。
時と場合によりますが、大人は「転ばぬさきの杖」になりすぎないように、「自分が助けられるうちに、子供に失敗の経験をたくさんさせる」ことが、子供にとって大きい学びになるのだと思います。
そもそも子供は「自分の力でやってみたい!なんとかしよう!」と考える力や好奇心を持っているので、失敗を気にすることは少ないはず。
小さい子供たちは、失敗を失敗と感じないこともあるくらい、無邪気に遊んでいたり、挑戦したりしています。
だから、「失敗したくない!」と言う感情が芽生えるのは、少なからず大人の影響が大きいのではないかと、自分の経験も踏まえて感じています。
子供に失敗させることを恐れて「挑戦させない」のではなく、子供の将来を心配しながら行動を応援つつ見守る。
近すぎず、遠すぎず、適度な距離で、親が子供を見守れるようになることで、本当の親子の信頼関係ができるのだと思っています。
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◆「現代の親子が目指す理想の親子像」を叶えるためには?
では、時間がない中、これだけの内容を踏まえて、この「現代の親子が目指す理想の親子像」を叶えるためには、どうすれば良いのでしょうか?
実は、この5ステップを実現するための具体的な実践方法が、私が提唱している「親子1on1」なのです。
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あなたは、企業内で採用されている「1on1ミーティング(1対1面談)」を聞いたことがありますか?
もともとアメリカ・シリコンバレーでできて、日本国内でも4割の優良企業が取り入れているので、実際に職場で実施されている方もいらっしゃると思います。
しかし、現実には、うまく成果を上げられている企業がある一方、
「具体的にどうすればいいのかわからない」「効果があまり感じられない」「通常の評価面談と変わらず、部下が嫌がる」という声も聞かれるように、
企業で実施されている1on1は「名前だけ一人歩きしていて、”1対1″ 以外に明確なルールがなくて戸惑う職場も多い」という話を、テレビでもブログでも、あちこちで耳にしています。
1on1ミーティングは「ただ行うだけ」では、まったく意味がありません。
そこで私は、この1on1ミーティングに、女子中高一貫の進学校での教諭経験から、子供が思春期を迎える前に、親子で習慣化しておきたいコミュニケーションの要素を加えて、
「❶何を、❷どんな順番で、❸何に気をつければ、たった15分で、子どもの悩みや本当にやりたいことが、子どもから自発的に聞かせてもらえるのか」を体系化、
「親子1on1メソッド」という「親と子ども向け」のオリジナルメソッドを作りました。
つまり「親子1on1」とは、単に親と子供で話し合うのではなく、短くても子供の記憶に一生残る時間、「子どもが自分で人生を切り開いていく未来」の実現を目指すための15分間の親子ミーティングなのです。
この親子1on1には、実際に行うときに必要なスキルなど、全部で4つのテクニックがありますので、詳しくはこの記事の最後をご覧ください。
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◆まとめ
それでは、ここまでの内容をまとめてみましょう。
「今の親子関係に、なんとなく違和感を感じている、モヤモヤしている」と思った時のポイントは、こちら。
今の親子関係にモヤモヤしている!現代の親子が目指す理想の親子像を5ステップで解説!
◆「現代の親子が目指す理想の親子像」とは?
子供が小さいうちに「親子で信頼関係を作る時間を持つことは、当たり前だ」と思えるような習慣を作っておく
(1) 子育てで後悔したことがある保護者は7割
「子供とのコミュニケーションがうまくいかない」を理由に挙げている親が一番多い
(2) 子育ての結果はすぐには出ない
子育ての正解を追い求めるより、自分の子育てに対する想いや考えを、直接子供に伝える
(3) 現代の理想の親子像・5つのステップ
1. お互いが思っていることを素直に言い合える親子
「子供は大人がすべて誘導すべきである」と考えずに「先入観を持たずに子供の話を聴く」
2. お互いを一人の人間として客観視できる親子
「大人だから」「子供だから」と決めつけず「子供を尊重して自分にはない視点を見つける」
3. 子供の行動を信頼できる親子
子どもを心配しすぎて代わりに全部やってしまうのではなく「子供に自分の行動を取らせる」
4. 子供が自発的に進路や悩みを相談できる親子
子供が決めたことに口出しをせず「子供に全力で取り組みたいことを見つけさせる」
5. 子供が自分で人生を切り拓いていく親子
子供に失敗を恐れて挑戦させないのではなく「子供の将来を心配しながら行動を応援つつ見守る」
◆「現代の親子が目指す理想の親子像」を実現するためには?
5ステップを実現するための具体的な実践方法が「親子1on1」
いかがでしたか?
「こうでなくちゃ」「あれもしなきゃ」と考えることも多いと思いますが、時間が限られているとしたら、限りなくシンプルに考えることが大切。
上を目指せばキリがない。やったほうがいいことは、全部やったほうがいい決まっている。
でも「こうでなくちゃ」と言う親の考え方が、「親なのにできていない」と親自身を苦しめ、親が苦しんでいる姿が、子供にも影響を与えます。
「親子1on1にはどんなメリットがあるか知りたい!」と思われた方は、こちらの記事を、ぜひ読んでくださいね!
参考
⚫︎ 株式会社クリエイティブエデュケーション
調査概要 : 「子育て・教育での後悔」に関する意識調査
【調査日】 2019年8月27日(火)
【調査方法】 インターネット調査
【調査人数】 1,133人
【調査対象】 お子さまのいる40代以上の男女
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ
⚫︎ NHKインターネット調査 2022年11月実施
“母親にならなければよかった”?女性たちの葛藤6000 人アンケート結果